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006_技術問題

<独自検証>京浜急行とトラックの事故を検証してみる

皆さま、こんにちわ!Engineer Travellerです。

  Engineer Travellerは鉄道系の設計をしている関係もあり、鉄道事故と聞いてしまうとかなり気になってしまいます。 そんな中で、京浜急行で大きな踏切事故が発生してしまいました。

www.sankeibiz.jp

 

 まずは、今回の事故でけがに遭われた方、心よりお見舞い申し上げます。加えて、トラックドライバーのご冥福をお祈りいたします。

 今回の記事は原因を技術的に検証するのが目的であり、京浜急行や運送会社の責任を検証する問題ではありませんので、ご注意ください。

 

 

 

 京浜急行踏切事故の概要

事故概要

詳細は記事を読んでいただければと思いますが

www.sankeibiz.jp

 

京浜急行 神奈川新町駅近くの踏切に13トントラックが立ち往生してしまった

・そこに最高速度120km/hで走行している快速急行が進入・衝突した。

・踏切の非常ボタンは押されたが、快速急行はブレーキをかけたが間に合わなかった

 

事故の発端はトラックにあるようですが、報道を見る限りは踏切が閉まってからトラックが進入したわけでなく、立ち往生したところに踏切が閉まったようですので、衝突するまでには結構時間があったと推定できます。

衝突した京急1000形の仕様

 衝突した車両は京急1000形という比較的に新しい車両で、事故を起こしたのは1137編成。Wikipediaによると2010年6月に落成した車両で、約9年走行してきたようです。

 

その他、車重と性能は次のようになってました。

空車重量 241.5トン
起動加速度 3.5km/h/sec (0.972m/s2)
常用最大減速度 4.0km/h/sec (1.111m/s2)
非常減速度 4.5km/h/sec (1.250m/s2)

非常減速度というのは、運転手が危険を察知して非常ブレーキをかけた時の減速度で、車内には結構衝撃が来るので、普段は使わないブレーキ人なります。

 

信号機の設置状況

 通常、赤・青・黄などの複数色の信号が鉄道にもあります。ですが、それとは別に踏切の異常を知らせる警報装置も設置されています。

 こちらも報道によると、踏切の手前10m、130m、340mの三か所に設置されているとのこと。位置関係を示すとこんなところに設定されているようです。

 

 

鉄道車両に必要な性能

600m以内に車両は止まれるように設計している

国土交通省の鉄道に関する技術基準として、

在来線の車両は600m以内に止まれることを標準とする。

 とされています。これは、大体人の目で異常を視認できるのが600m前後であることが一つの基準になったようですが、最近は目が悪い人もいますしカーブもありますので、信号機などを使って600m以内に非常ブレーキをかけられるようにしているようです。

 

 なので、ニュースでも600m以内に視認できさえすれば、トラックに衝突せず止まれるはずと鉄道の評論家が言っているわけです。

実際に1000形では何mで止まれるか?

高校の物理で習う基本公式に

 

 f:id:engineer-traveller:20190604073824p:plain

というものがあります、速度V0から速度Vに変化したときの、加速度αと走行距離lの関係式になります。

 

この式を使って、京急線の最高速度120km/hから止まるのにどのくらいの距離が必要なのか計算をしてみましょう。

上の式に

V:停止時の速度 :  0m/s (0km/h)  

V0:最初の速度:33.33m/s (120km/h) 

α: -1.25m/s2 (4.5km/h/sec)    ※減速度なので加速度はマイナスで表します。

※m/sを使うのは単位系を合わせるためです。

 

を入れていくと、止まるまでの走行距離Lが出てきます。

計算結果は

L=444m
 

よって、600m以下なので、問題なく止まれます。 報道で120km/hを出すのが・・・・というのもあるみたいですが、技術基準を守っているので120km/h運転にはなんら問題ないことが分かります。 

 

 

どのような状況で衝突したのか?

 最初先頭車両の衝撃具合を見たら、かなりの速度で衝突したことが分かります。実際は120km/h近くの可能性もありますが、少なくとも何キロで衝突したか検討してみました。

衝突から停止までの距離は?

衝突時の速度を推定する前に、どのくらいの距離を衝突してから進んだのか確認してみました。

news.tv-asahi.co.jp

この動画を見ていくと、1分30秒近辺に空撮映像があって、踏切から先頭まで4両分の長さがあることが分かります。

2000形が1両18mなので、衝突から停止まで約72mになることが分かります。ここから衝突時の速度が推定できないか考えてみました。 

衝突直後の速度を推定してみる

 先ほどと同じく、

f:id:engineer-traveller:20190604073824p:plain

 この式から、衝突直後の速度を推定していきましょう。

ここでαをいくつにするかが問題ですが、確実に出ているのは非常減速度の-1.25m/s2になります。衝突後はトラックを引きずったり脱線したのでこれ以上の減速度が出ていることは確実ですが、仮定では-1.25m/s2で検討してみましょう。

 

V: 停止状態 0m/s

α: 非常減速度 -1.25m/s2

l : 72m

を入れて計算してみれば、衝突直後の速度がわかります。

計算してみると。。。。

V0 = 13.4m/s (=48km/h) になります。

衝突直前の速度を推定してみる

さっき求めた速度はトラックと衝突直後の速度なので、衝突によって電車が減速した分が含まれていません。

 そこは………

f:id:engineer-traveller:20190907150435p:plain

 物理の基本公式、運動量保存則という式から導き出せます。

 M:は電車の重量 空車で241.5トンですが、実際は乗客もいるので

   250~260トンでしょうか?ここでは250トンに仮定しましょう。

 m:はトラックの質量。13トン車なので荷重は最大13トン。自重は2~3トンは

   あるでしょうから、16トンとしましょう。

 

 衝突時のトラックの速度は0km/h、衝突直後は48km/hですので、

 

   衝突直前の電車の速度は51km/h (以上)

 

 と推定できます。以上としたのは、仮定の減速度が低すぎるからです。減速度が倍出てれば、衝突直前の速度は1.4倍にもなります。あの状況を見たら、もっと速度が出ているような感じがしますが憶測になりますので、考えないようにしましょう。

 

事故の原因は?

 事故の原因はトラックが踏切に立ち往生したことではありますが、普通の状態であれば事故にならずに終わっていたはずです。

 今後詳細に検証されることになるとは思いますが、これらの計算結果を見る限りは120km/hの高速運転をすることは問題なく、信号が正常に作動していれば停車できたはずです。

すると考えられる原因は

  • 非常信号機が壊れていて、600m手前で異常を確認できなかった。
  • 運転士がブレーキをかけるタイミングが遅かった
  • 車両のブレーキに異常があった
  • トラックが踏切に進入したのが、遮断機の下りた後だった

 などが考えられますが、これ以上は自分ではわかりません。今後の原因調査を待ちましょう。

 

まとめ

 鉄道はあらゆる事態を想定して、安全装置をかけているはずですので、今回の事故で見直すべきことがあれば積極的に見直して、今後の安全輸送に努めてほしいです。 

 

 

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006_技術問題

<緊急検討>横浜シーサイドラインでの事故を検証する

皆さま、こんにちわ!Engineer Travellerです。

 実はEngineer Travellerは鉄道系の設計をしている関係もあり、 横浜シーサイドラインでの逆走・車止めの衝突事故が発生した際にかなり気になっていました。

mainichi.jp

 

 まずは、今回の事故でけがに遭われた方、心よりお見舞い申し上げます。

Engineer Travellerが勤める会社の製品はどうも搭載されていなかったようなのですが、どのくらいの衝撃が発生していたのか?などを検証してみたいと思います。

 

 

 

 横浜シーサイドラインの車両概要

加速度・減速度

今回事故を起こした車両はシーサイドラインの2000形電車になります。

ja.wikipedia.org

 

 この車両の加速度といった性能の基本仕様は

加速度 3.5km/h/sec (0.972m/s2)
減速度(常用) 3.5km/h/sec (0.972m/s2)
減速度(非常) 3.5km/h/sec (1.250m/s2)

 

こんな感じになっているようです。

無人運転(ATO)

 この車両の特徴はなんといっても無人運転。ソフトによって車両が走るべきパターンに合わせて加減速度を調整していきます。本来は前方の安全監視のために運転士が必要になりますが、それはホームドアを設け、軌道上に人が入れないようにして安全を確保するので不要になっています。

 そういう意味では車の無人運転に比べるとはるかに実現がしやすいシステムになっていて、実際に新交通システムとしてゆりかもめなんかも無人運転を実現していますし、運転士が乗っているけど実はソフトによって自動運転している地下鉄なども多くあります。

衝突時の速度を推定する

逆走した距離は25m……ということは……

色々な報道によると、車両の停止位置から車止めまではざっと25m位の距離があるとのこと。

www.asahi.com

また、シーサイドライン2000形の加速度が3.5km/h/sec(0.972m/s2)であることから、衝突時の速度はだいたい推定することができます。
距離と加速度の関係式で

 

f:id:engineer-traveller:20190604073824p:plain

という高校物理の基本公式があります。これに値を代入していけばいいわけです。

 

 

最大加速度の場合は・・・・25km/h

 

先の式に

V:衝突時の速度 v0:最初の速度(=0km/h(0m/s2))  α:加速度(0.972m/s2)  l:走行距離(25m)

を代入してあげると、衝突時の速度は

V=6.97(m/s) (=25.1km/h)
※m/sを使うのは単位系を合わせるためです。

 

最大加速度であれば約25km/hで車止めに衝突することになります。

 

ATOを想定するならば・・・・

 実際ATO運転に限らずですが、いきなり最大加速度を出すと上極の乗り心地にも影響しますので、緩めの加速を最初にしてから徐々に高めていく方法を取ります。

信号メーカーの仕様が分からないので何とも言えないのですが、平均して最大加速度の70%前後だったと仮定していっても、

加速度 α=2.45km/h/sec (=0.68m/s2)とすれば

v=5.83m/s2(=21km/h)
になります。

昨日の報道によれば・・・・

www.asahi.com

時速20km/h以上で衝突か?という話なので、だいたい当たってそうな気がします。
ただし、これは“通常の加速であれば・・・・”という条件ですので異常動作をして加速度が普段以上だった場合はこれに限りません。

 

 

車止め追突時の衝撃は?

 衝突時の衝撃はどのくらいか?
こちらもちょっと気になってたので、検証しました。

時速20km/hの物が1mで停止する・・・・

 車止めには油圧ダンパが用いられているようなので、衝突で即座に車両は停止しないでダンパがうまく衝撃を吸収してくれたはずです。ですが、時速20km/hのものが急激に停車するのでそれなりに衝撃があるのは間違いありません。

 

こちらも報道ベースですが・・・

www.sankei.com

  “車止め衝突後に1m移動”とのことですので、これからおおよその計算はできます。
先ほどの物理式に
V=0km/h, V=20km/h (=5.56m/s) , l=1mを入れると出てくる加速度(減速度)は

α=-15.4m/s2 (-55.55km/h/sec)
一秒間で55km/h減速するような衝撃がかかっているようです。こちらは平均での減速度ですから一時的にはこれの2~3倍がかかったと推定できます。

 

Gに換算してみたら・・・・

この減速度をGに直すと平均して1.6G、一時的には4~5Gです。これは一時的にですがドラッグレースなんかのレーシングマシンの加速度に相当するとか。
それは立っているひとはすぐに倒れてしまい、あちこちにぶつけたりしてしまったのでしょう。

 

自動運転はあぶないのか?

 今回衝突まで計算上8秒程度の時間があるので、有人運転であれば十中八九事故は防げたと思います。では今回の事故を受けて自動運転が危ないのか??

という話にはなりません。JR西日本脱線事故を見て分かるように人がいれば必ずしも安全とは限りませんし、今後の人手不足を考えれば自動化は流れですし、車でも自動運転が開発中です。

 

まとめ

いずれにしても、自動化に向けてあらゆるケースを想定して万が一にもFailが起きないようにする。起きても問題ない方向にもっていくのが、我々エンジニアの氏名のように感じます。

 

時速20km/hの物が1mで停止する・・・・

 

 

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006_技術問題 ANA JAL

787シリーズをエンジニアの視点から見てみた!

 

皆さま、こんにちわ!Engineer Travellerです。

 昨日ANAの787-10導入に関して記事を出しましたが、、、、

 

www.engineer-traveler.com

 

787シリーズを見るとこんなところが気になるなぁ・・・・ということを感じたので、それをちょっとエンジニア的に検討してみることにしてみました。

他の787-8でもこれなんだ???って思っていたので、詳細に検討してみれば納得できる理由がありそうです。

 

 

 

 

 Engineer Traveller的素朴な疑問 

 出張で成田ーデリー線によく乗っていたのですが、以前は767-300ERが就航していて、最近になって787-8や‐9が就航してエコノミークラスに乗っていると、列の真ん中あたりに窓がない部分というのが一列あるのです。

    f:id:engineer-traveller:20190414105334j:plain

 

 

前方のビジネスエリアでも一か所787-9ではあるのでなんなんだろ??と感じていたわけです。767-300ERでも窓なし席があるのですが、後方のすぼんでいくところなので仕方ないのですが、真ん中あたりに堂々とあるわけです。

 

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                          ※ANA 787-10(国際線)の座席マップより

 

 この窓なし座席がなぜ発生してしまったのか、エンジニア的に解析してみることにしました。

 

窓はどのような配置?

 787-8、10を並べて展示していたANAの記事や

www.aviationwire.jp

自分の787-9の写真から窓の配列と隙間の関係が何となくわかってきました。それを図解するとこんな感じになります

 

f:id:engineer-traveller:20190414110834p:plain

                               ※塞がった窓もカウントしています。

 

 大きい藍色の四角が出入り口(非常口)、黄色い四角が窓を表しています。こうしてみると分かることがいろいろとあります。

 

  • 1~2番目の扉間は9窓続いた後に隙間があり、その後の窓数が機種によって異なる。
  • 真ん中の2~3番目扉間は24窓分で機種によらず一定
  •  3~4番目の扉間については、途中一か所に隙間があって、その前後の窓の数が機種によって異なる。

 

 みると分かることがいろいろとあります。これがわかると、何となくニヤッとなってしまいます。

 

787の構造部品(予想)

 これは個人的な予想もあるのですが、これらの情報から787の構造部品(胴体部分)はおおむねこんな感じに別れていると予想しています。。

 

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  前部胴体部分  コックピットと最前部窓9個分の胴体部分   

  前部胴体部分(後方)  2番目扉含む部分

  中央部分胴体  3番目扉も含む部分

  後部胴体①   3番目扉以降複数窓分隙間まで

  後部胴体②   4番目扉を含む尾部

 この時のメリットは前部胴体部分、中央部分胴体が機種によらず同じ形状になります。ここの部分は設計上の基幹部分なので、絶対変えたくない!という意思が見え隠れします。

  ※前部  ⇒ コックピットがあるので、電気配線が多くて設計変更はしたくない

   中央部分 ⇒ 翼がつくので強度関係が非常に厳しくなるところ。

          部品の強度を何度も確認したくないので、設計変更はしたくない

 今回Engineer Travellerが気になった、窓と窓の隙間というのが、これら部品の接合部分ではないかと考えています。

 そして、残る部分は機種に応じて多少変更していこうということになります。残る部分も詳しく見ると……

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 787-8、-9の間では後部胴体②を共通化し、-9、-10の間では後部胴体①を共通化して設計をしていると考えられます。すると、製作するときには同じ機械や図面を使うことが可能です。

 この機械や図面は非常に重要で、図面を書くにも延べ数十~数百時間もかけて図面を書き上げるわけです。その際も強度検討をしたり、接合部分のサイズなどチェックする項目は多数に上ります。

 機械についても、航空機のような大型部品を作る際には専用の機械を導入しますので、数億~数十億するような高価な機械ばかりです。できる限り同じ機械を用いて一つあたりのコストを下げるのが、設計者の腕の見せ所になります。

 

 これが本当なのか確認できないかと思ったところ。。。。。

     f:id:engineer-traveller:20190414114801j:plain

 

 よくよく787-9の写真を拡大してみると、うっすらと黒っぽい線が見え隠れ…やはりここが接合部分のようです。

 

787の炭素繊維の接合方法

  では、777とかでも同じような考えで設計しているはずなのに、なぜ787になるとこのような接合部分によって窓がなくなる部分が発生してしまうのでしょう?

 答えは素材にあります。

  777まででは、ジュラルミンとか軽量で高強度の素材が使われていますが、長さを長くしようと思えば、部材の長さを長めにあらかじめカットすればいいだけなので、長めに作ってもともと扉近辺など窓がない部分で接合すれば問題ありません。

  787では、より軽い素材として炭素繊維が使われるようになりました。その時には繊維を冶具に巻き付けていく方法を取りますので、

      冶具のサイズ=部品のサイズ

となるわけです。簡単に長さを変えることができないわけです。そうしたときは、できる限り同じ冶具を使って生産して、それらをつなげるという方法を取ることが最良の方法になってきます。

 ただ、炭素繊維の場合は簡単につなげるのも難しいですし、接合のために金属を使ったのでは重くなって意味がないです。

 おそらくですが、、、、、

    f:id:engineer-traveller:20190414115603p:plain

 こんな形ではめ込み構造を作って、接合しているのでしょう。ですが、この部分は強度的には弱くなってしまいますので、穴をあけるなんてもってのほか!!

 こんな理由で、前部と後部に窓の隙間ができてしまっているのでしょう。

 

まとめ

  ちょっとした疑問を詳細に検討していくと、設計者のコストダウンと設計労力を削減しようという意思が見え隠れして結構面白いです。

  皆さんが普段目にしているいろいろな機会にも、何気ない構造にこんな意思が隠れていますので、ぜひともチェックしてみてください。

 

 

 参考資料

川重、787-10向け新工場完成 月産14機に対応

https://www.teikokushoin.co.jp/journals/geography/pdf/200712/1-3.pdf

 

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006_技術問題 JAL修行

GPSリセット問題とドラクエバグは同じ話だ!

こんばんわ!Engineer Travellerです。

今回は全く持って航空会社と関係ありません! でも、今回のGPS問題でふと思い出したことがあり、結局は航空会社のトラブルとドラクエが結び付けることができます。

 

www.engineer-traveler.com

どうして結びつくのか?中身は情報系の話なのですが、文系でもわかるように解説してみました。ちょっとお付き合いください。

 

<<<目次>>>

  • 有名なドラクエ4のバグ
  • 逃げる8回をするとどうなる?
  • カジノで838861枚買うと…..
  • GPSリセット問題との共通点
  • まとめ

 

 

  平成生まれの人はあまり知らないと思いますが、ファミコン版のドラクエには結構いろいろなバグがありました。わかりやすいところだと、ドラクエ4にはこんなバグがありました。

  • ラスボスであるデスピサロの戦いのときに、逃げるを8回繰り返すと、常に会心の一撃が出るようになる。
  • 5章でのカジノにおいてコインを838861枚買うと、本当は約1700万ゴールドのはずが4ゴールドで買える。 

 

  リアルタイムでドラクエ4をやった人には非常に有名な裏技ですね。これがなぜ起きたのか見ていきましょう!

 

  • 逃げる8回をするとどうなる?

  まず初めに”逃げる8回をすると会心の一撃が必ず出る”裏技です。これは戦闘状態を記録しているデータに問題がありました。

        f:id:engineer-traveller:20190409055028p:plain

  このデータは8つの0と1から成り立っています(8ビットのデータです。)。そのうち、一番下の2ケタが逃げた回数を記録する部分になっていたようです。そして、4ケタ目には、常に会心の一撃が出るか出ないか判定される部分があって、ここが1だと会心の一撃が常に出るようになります。

 

  ここで逃げた回数が増えていくとどうなるのか見ていきましょう!

          f:id:engineer-traveller:20190409055316p:plain

  こんな感じで、8回逃げるを繰り返すと4ケタ目が1になってしまいます。こうなってしまうと、8回逃げた後に攻撃をすると、常に会心の一撃が出るようになるわけです。

 おそらく、普通の戦闘シーンであれば4回目で必ず逃げられるように設計していたので、ソフトの設計者さんは”逃げた回数”は最後の2ケタだけを割り当てたのだと思います。

  しかし、ラスボスのような逃げられない相手は4回を超えて逃げるが失敗してしまい、どんどん数が溢れていった結果、4ケタ目などほかの関係ないところまで影響を及ぼしてしまったわけです。

 

  • カジノでコインを838861枚買うと…..

  そして、もう一つ。カジノで83万8861枚買うと1枚20ゴールドのはずなのに、4ゴールドで買えてしまう裏技です。これを使えばカジノで遊び放題ですし、重要アイテムと簡単に引き換えられます。さて、これはどうなっているのでしょうか??

 

  コインの購入代金を扱うデータがあるのですが、こちらが24個の0と1(24ビット)で成り立っています。

 

f:id:engineer-traveller:20190409060326p:plain

  これで表現できるのは16,777,216種類のデータになります。カウントが0からはじまるので、これがすべて1になる時は16,777,215ゴールド、そこに1ゴールド足すと……

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  このように、先頭に”1”が繰り上がって16,777,216が表現されるのですが、この代金管理は24個の0と1しか扱えないので、先頭の25個目のデータは無視(というかなくなってしまう)された状況になってしまいます。

 ここで、1枚20ゴールドのコインを838,861枚買うといくらになるか?計算してみると……

    f:id:engineer-traveller:20190409061041p:plain

 なんだか見たような数字になってきました(笑)この数字を0と1で表現するとどうなるか???というと…..

 

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   このように、下3ケタが100、下25ケタ目に1がある状況になります。ですが、24ケタしか扱わないので、頭の”1”はなくなった状態になっていますので、ファミコン上では4ゴールドとなってしまい、大量のコインが爆安で買えてしまうわけです。

 

  • GPSリセット問題との共通点

  こうしてみると、ドラクエ4のバグとGPSリセット問題は非常に似ています。GPSリセット問題のそもそもの原因は……

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  10個の0と1で”週”を表現しているので、10個で表現しきれない数(1024以上)になるとケタが溢れて思いもしないことが起きることになります。ソフトウェアエンジニアは本来ここまで考えて設計しなければならないのですが、そこは人間ですからやはりどうしてもミスが出てきてしまい、このようにGPSリセットやドラクエ4のバグになって出てくるわけです。

 

  • まとめ

  エアラインネタからだいぶ外れてしまいましたが、JALのフライト遅延から見事にドラクエ4のバグまで結びつけることができました。エンジニアもいろいろと想定して設計はしているのですが、このようなミスがあることは寛大な目で見ていただければ嬉しいです。

 

 

参考サイト:ニコニコ大百科

8逃げとは?     https://dic.nicovideo.jp/a/8%E9%80%83%E3%81%92

838861とは?   https://dic.nicovideo.jp/a/838861

 

 

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002_空港・ラウンジ情報 006_技術問題 JAL修行

JALでGPSリセット問題発生! 今回の原因は???

皆さま、こんばんわ!Engineer Travellerです。

 ちょっとマイレージとか修行から離れて、Engineerらしく技術の話をしてみたいと思います。一応文系の方にもわかりやすくしているつもりなので、ちょっと参考にしてもらえればと思います。

 自分は情報系ではないので、一部不正確なところがあればご指摘ください。

 

 

 

<<<目次>>>

  • GPSが原因でフライトに遅延発生 
  • GPSの仕組み
  • 今回のGPSリセット問題
  • 対応策
  • 根本的対応策は?でも。。。。

 

 

  • GPSが原因でフライトに遅延が発生

自分でネットで騒がれるまで知りませんでしたが、GPS2000年問題のような問題が発生する可能性があり、GPS利用機器(船や飛行機)などで注意が呼びかけられてました。

internet.watch.impress.co.jp

 

 前回(1999年)はいろいろなトラブルもあったようですが、当時に比べて情報化が進み、スマホなど身近なところでGPSが使用されているので、トラブルが発生すると影響は過大になりそうです。

 

 JAL/ANAなどの航空会社は対応済みであることを表明していましたが、完璧はなかなかうまくいかないようで、JALで最大22時間3便の影響が出たようです。

 

         f:id:engineer-traveller:20190408155900p:plain

 Engineerらしく、なぜ問題が起きたのか?解説していきましょう!

  • GPSの仕組み

 まずは、GPSの仕組みを知らないとこの問題の根本的な原因がわかりませんので解説していきます。

 地球上にGPS用の衛星を複数打ち上げておいて、位置測定用の電波を地上に向けて送信し続けています。こうすると、地上では複数の衛星信号を受信することができます。

f:id:engineer-traveller:20190408103025p:plain

 

 

 例えば、6:00:02秒に次の信号を受信したとしましょう。

f:id:engineer-traveller:20190408103912p:plain

  衛星の遠近は受信者の時間と、衛星の電波に書いている時間のデータの差からどのくらいのタイムラグがあったのかがわかります。このタイムラグと電波の速さから、それぞれ衛星A,B,Cまでの距離が割り出せます。

      ※実際のタイムラグはもっと小さいですが、わかりやすくしています。

  

  すると、三つの距離情報を合わせると、受信者の位置を特定することが可能です。

f:id:engineer-traveller:20190408104306p:plain

 

<位置特定の手順>

  • 衛星Aの電波情報から、衛星Aを中心に測定された距離の球を描きます。
  • 同じく衛星Bからの距離で球を描くと、一つの円周が出てきます。
  • そこに衛星Cから同じように球を描くと二点に絞られます。
  • 一点は地球外なので排除して、地球上の一点が受信者の位置とわかります。 

※紙の上で3点からコンパスで円を作ると一点に交わるのを考えてください。

 

 

  実際は受信者の時間が正確じゃなかったりするので、衛星は最低4つを使って位置を推定していますし、衛星の数が多いほどより正確な位置を割り出せます。

  • 今回のGPSリセット問題

  今回のGPSリセット問題は発信している情報に問題があります。

 GPSには衛星の位置情報とともに、いつ発信したのか?というのが重要です。この情報を電波に載せているのですが、データのイメージは……

 

f:id:engineer-traveller:20190408111244p:plain

 

 こんな感じになります。 そのうち時間とともに、

 

   何週目か?

 

 という”週番号”の情報を載せています。日付に関する情報ですね。

 その何週目か?という情報は10個の”0”と”1”で表現されています。これを10ビットと言います。この10ビットで表現できる数は10進数にすると

 

f:id:engineer-traveller:20190408112145p:plain

 

 

  1024通りの数が表現できます。これを年間52週で割ると、約19.7年となり、19.7年を表現することが可能です。ですが、この19.7年の時に問題が発生します。

 

f:id:engineer-traveller:20190408112507p:plain

  1023週目の時は全部1になっているので、ここにプラス1を加えていくと、繰り上がって0になります。(実際は0になった時にはリセットされるようなので1週になるようです。)

 

 そうなると。。。。。

  

f:id:engineer-traveller:20190408112657p:plain

 

 現在時間とのミスマッチが発生して、19.7年前の電波を受信した?と判断してしまって、地球外のめちゃくちゃ遠いところにいるのでは????となってしまうわけです。

すると、位置を測位する機械がエラーを起こして正しく表示されないなどのトラブルが起きてしまうわけです。
  

  • 対応策

  一時的な対応策ですが、すでに過去になった日付はもう使われませんので、ある基準日を設けて、

  それ以前は2019年4月以降です! 

  と読み替えるソフトを機器にインストールすればOKです。

 

<イメージ>

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  ネットにつながっているスマホなんかは、OSの自動アップデート機能があるので更新してくれるはずです。

  航空機なんかはきちんとソフトのバージョンを管理しているはずなんでしょうけど、今回はJALの手違いでアップデートされてなかったのか?よくわかりませんが、ANAをはじめ国内航空会社では起こっていないようですね。

  今後再発防止策などの対策が必要になってきますね。

  • 根本的対応策は?でも。。。。

  根本的な対策はシンプルです。 この週の情報を10ビットから14~16ビットにするしかありません。14ビットにするだけで、現在の16倍、約320年は対応可能です。

  ですが、これをするには世界にあるGPS機器に

 

 ビット数が増えたよ~~!!

 

という情報をアップデートしないといけませんので、その手間は膨大です。加えて、このGPSはもともとミサイルなどの軍用で開始されていますので、ミサイルがエラーを起こして友好国に着弾してしまったら政治問題になってしまいます。

 

 というわけで、ずっと19.7年ごとのリセットを耐えるしかないのです。

 

  なんで、10ビットしか割り当てなかったの??

 

 という疑問が出てくると思いますが、いろいろと理由はあります。

 

  • データ数を増やすと、通信に時間がかかる
  • 設計当時は20年運用することを想定していなかった

 

 おそらく、一番は通信時間の問題ではないかと思います。設計当時は通信速度が非常に遅くて、1ビットでも情報を減らしたかったのでは?と思っています。

 しかし、パソコンでもあった2000年問題といい、設計仕様はよくよく考えないといけませんね。そういうことを痛感させられる問題でした。